元フジテレビアナウンサーの渡邊渚さんのフォトエッセイ『透明を満たす』が話題になっています。
今回は、渡邊渚『透明を満たす』に中居正広さんに関する記述は出て来るのか、本書を読んだ感想や考察をまとめていきたいと思います。
驚愕!フジテレビの古い体質
フォトエッセイ『透明を満たす』には、渡邊渚さんが、フジテレビで、どのような姿勢で仕事に臨んでいたのかが、詳細に記されています。
社会人になったのは、2020年4月で、コロナ禍真っ只中で、大学の卒業式も、入社式もない中でアナウンサーになった渡邊さん。
研修は全てオンラインで、ようやく出勤できるようになったのは夏頃だったそうです。
新入社員の頃に衝撃を受けた言葉として、「入社して3年は恋愛するな。しても絶対バレるな。」と言われたことを書かれていて驚きました。
しかもその理由として、「恋愛が週刊誌にバレたら、あなたを好んで起用してたおじさんたちが拗ねちゃうよ」と言われたそうなのです。
2020年の令和の時代に、こんなことを言っていたなんて、フジテレビってどれだけ古い体質なんだと驚愕しました。
「完璧なアナウンサー」を目指していた渡邊渚さん
そんな環境の中で、「完璧なアナウンサー」を目指していた渡辺さんは、ノーと言ったら嫌われると考えて、多少のハラスメントにも目をつぶっていたそうです。
それに対して飲み会で「そういうのにうまく対応できるのが一流のアナウンサーだから」とまで言われたそうで、会社全体が腐っているんだなと感じました。
そんな生活の中でメニエール病を発症してしまったそうなのですが、それを口にすることすら、アナウンサーは弱みを見せちゃダメ、仕事が減るよと指摘されたそうです。
そんな生活の中で、プライベートを全て犠牲にして、盲目的に会社の方針に従って仕事をしている時に、あの事件が起きます。
事件のことについて
まず、中居正広さんについてですが、フォトエッセイ『透明を満たす』の中で、名前が出て来ることはありません。
示談をしているということで、お互いに守秘義務があるでしょうから、当たり前といえば当たり前かもしれませんね。
ただし、「心が殺された日」という題で、出来事自体の詳細まではありませんが、その瞬間にどんな気持ちで被害に遭ったのかは書かれています。
恐怖で体が動かない、助けてが届かない絶望感、など、同じ女性として、想像するに余りある苦しさが伝わってきます。
入院と自傷行為
フォトエッセイ『透明を満たす』の多くは、渡邊さんが入院していた期間、病気を治療していた期間のことが書かれています。
数週間前まで、テレビに出ていた人間とは思えなくらい、お肌がボロボロになって、165cm51kgだった体重が、一気に9kgも減ったという話など、とても具体的で、PTSDによってどれだけ体が蝕まれていったのか、詳細に知ることができます。
また、渡邊さんがしてしまった自傷行為のことも詳細に書かれていて、事件のせいで、こんなにも壊れてしまっていたんだと、胸が潰れそうになります。
また、傷ついた人への寄り添い方なども、傷ついた当事者として書いてくれていますので、自分の周りに同じように傷ついた人がいる方には、とても参考になると思います。
パリオリンピックにバレーボールを見にいった想い
渡邊さんは、2024年にパリオリンピックにバレーボールを見に行ったことがニュースになりました。このことについても、フォトエッセイ『透明を満たす』には書かれています。
渡邊さんのポリシーとしては、会社を辞めてから行きたかったこと、春から退職の話を会社にしていたのに、手続きが間に合わず、7月中に退職することができずに、在職中にオリンピックに行くことになってしまったことなどが書かれていました。
あの時、パリオリンピックに行ったすぐ後に、退職の報道が出たので、なんだか不思議に思っていたんですが、本人は辞めてから行きたかったのだと、本書で知ることができました。
SNSで発信し続ける理由は?
SNSで発信をし続けている理由についても、『透明を満たす』の中では触れられています。
それは、「私をPTSDにした人たちに「私の言論は止められない」と訴えたかったからだ」と書かれていて、とても強い女性なのだなと感銘を受けましたし、応援したい気持ちになりました。
『透明を満たす』の意味とは?
『透明を満たす』の意味は、本書を全て読んでみて、二つあると感じました。
一つは、本書の初めに渡邊さんが書いている、限りなく透明に、素直に言葉にしたいという思い。
そしてもう一つは、本書の終わりに渡邊さんが書いている、この社会が、透明性の高い社会になるようにという願いです。
透明性の高い社会になるようにという願いは、自分が受けた酷い扱いを、全て無かったことにされそうになった渡邊さんだからこその、心からの願いだと思いますし、実際、渡邊さんの行動は、社会に一石を投じていると思います。
彼女が声を上げなかったら、テレビ局の裏側で、どんなことが行われているかなんて、一般人の私たちは知る術がなかったからです。
『透明を満たす』の感想・考察
『透明を満たす』を読むとき、ちょうど週刊文春の訂正記事が話題になっていて、文春がわざとフジテレビの会見が終わるまで、訂正記事を出さずに事を大きくしようとしたんじゃないの?と感じていました。
でも、『透明を満たす』を読んで、問題は、そんなことではないと感じました。
本書では、渡邊さんが新潟で生まれ育ち、新潟県中越地震を経験していることなども書かれています。また、お父様の仕事の都合で、名古屋、横浜と転校し、東京で女子高生時代を過ごしたことなども書かれています。
読んで思ったのは、なんでこんなに普通の女の子が、一生懸命に生きていた女の子が、ここまで虐げられなければいけないのか、という憤りです。
また、文春の記事にあるように、渡邊さんが直接、誘いを受けていたのだとしても、新卒でフジテレビに入り、「あなたを気に入って起用しているおじさんたちが拗ねちゃうよ」と言われるような教育を受けてきた渡邊さんに、断る余地なんてなかったのではないか、ということです。
このような歪んだ教育を受けてしまったら、大物芸能人から誘いを受けたら、それを断ればどうなるのか、と考えてしまったのではないかと思うのです。
渡邊さんの名誉のために書きますが、本の中には、「恐怖で体が動かなくなって、「助けて」が届かない絶望感」「どれだけ抵抗しても伝わらなかった絶望感と無力感」とありますから、間違いなく、行為に対して抵抗はしています。
そして、これら全ては、渡邊さんが声を上げなければ、無かったことにされていたのです。
実際に情報が漏れたのは、渡邊さんからだったのか、誰からだったのかはわかりませんが、周りにいる人たちだって、絶対に許せないと感じていたと思います。
渡邊さんは、本書の発行にあたり、同じような被害に遭った人の力になりたいと言っていますが、間違いなく力になると私は感じました。
ここまで大きな組織や有名な人を敵に回すリスクをとってでも、彼女が行動したことは、必ず誰かの光になると感じています。
最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございました!
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